実家の片付けや遺品整理をする際に、処分が難しいのが写真です。自分の写真でも、なかなか整理できないものなのに、遺影写真となると尚更ですね。
遺影は、サイズが大きく、額に収まっていることが多いため、飾るにしても保管するにしても場所を取ります。だからと言って、箱にしまってまで取っておくべきものなのか、処分するのに何か手続きが必要なのか、そのまま処分したらバチが当たるのか、、など、気になることも多く、そのままになってしまいます。
今回は、遺影写真の処分についてご紹介します。なんらかの理由でそのままにしておけない場合には、先延ばしせず思い切って整理する決断は、将来の自分や家族のためでもありますよ。
遺影は処分してもいいの?
結論になりますが、遺影は処分しても何の問題もありません。
宗教的な意味合いはありませんので、あとは気持ちの問題です。
ただ、そう言われてもスッキリ処分しにくいものではありますので、もう少し掘り下げて解説します。
遺影の意味や役割は?
現在、お葬式(お通夜、葬儀、告別式)では、当然のように遺影が飾られます。そのため、遺影は必要なものと思いがちですが、宗教的な意味は何もありません。
あくまで、最後のお別れの場で参列者が故人の生前の姿や人柄を思い浮かべ、偲んだりできるように飾られるものなのです。
故人の写真ですから、「位牌と同じように扱うべきではないか」と勘違いをしがちです。
位牌は開眼供養によって魂入れをしますが、遺影は開眼供養をしないため、宗教的意味がなく、ただの写真にすぎないのです。
遺影の起源は死絵(しにえ)と考えされています。
死絵とは、幕末を中心に江戸時代後期から近代にかけ、主に歌舞伎役者が死去した際、その訃報と追善を兼ねて版行された浮世絵のことです。 役者の似顔絵に、命日、戒名、墓所、生前の業績、辞世、追善の歌句などが記されたようです。(参考:wikipedia)

現代の遺影写真が一般化したのは、写真の普及にあわせ葬儀社が演出の一環として取り入れたことが始まりとの説もあります。
遺影を飾るのはいつまで?
宗教的意味合いがないのですから、遺影を飾る期間に決まり事はありません。
仏式では、四十九日まで後飾り祭壇を設置することが多いため、その祭壇に飾り、その後は処分したり、仏壇に飾ったり、壁にかけたりと、各家庭によって対応が異なります。お盆やその後の法事法要で飾ることもあります。
遺影の処分方法は?
日本では、宗教的な意味合いの他にも、慣習(お盆など)として、故人の供養で寺院や神社との関わりが強いです。そのため、お葬式で使用したものや、故人が生前愛用していたもの、写真などを、ゴミとして処分することに抵抗を感じる人も少なくありません。
残し続けられる環境であればいいでしょうが、何らかの理由で残せない、処分が必要な場合には、心苦しさを感じてしまったりします。遺影の処分方法はいくつかありますので、ご自身が納得する方法で処分されることをオススメします。
遺影は燃えるゴミに出す
上述の通り、遺影もただの写真。他の写真と同様に、普通ゴミ(家庭ゴミ、燃えるゴミ)として処分して構わないのです。額縁は、素材に合わせて地域のゴミ出し方に従いましょう。
そのまま捨てることに抵抗がある場合には、白い布や紙に遺影を包み、塩を振ってから処分するといいでしょう。
神社や寺院でお焚き上げしてもらう
自分で処分することに抵抗がある場合には、寺院や神社で「お焚き上げ供養」を行ってもらう方法がオススメです。
お焚き上げ供養は、故人に関する物を供養し焼却する宗教的な儀式ですから、ゴミの扱いとは異なります。
お焚き上げ供養は、依頼する寺院や神社、供養をお願いする量によってお布施や玉串料が変わります。写真や手紙程度であれば、3,000円程度と言われていますが、ダンボールサイズになると5,000〜10,000円程度かかるとでしょう。
お布施や玉串料を包まなくていいようにと、どんと焼きなどに持ち込んでこっそり焼却してもらうのは、よろしくありません。。
神社や寺院で焼却しているので、本人にとっては荷が降りるかもしれませんが、故人の供養にはなりません。近年、お焚き上げに持ち込むものにも制限があります。間違いなく制限外であることも忘れずに。
葬儀社などの業者に依頼する
葬儀社や供養業者でも、受け付けてもらえます。
葬儀社によっては、遺影の処分が含まれていたり、小さくリサイズしたものを用意してもらえたりもします。
葬儀社とはいえ、ご先祖様分は別料金ですから、供養業者にまとめてお願いする方がいいかもしれません。

リサイズやデジタルデータにして保管する
手元に残したい場合には、リサイズしたり、デジタルデータにする方法もあります。
小さくリサイズし、写真立てなどに収めれば、部屋にも飾りやすくなります。デジタルデータがあれば、場所も取りませんし、いつでもすぐに見ることもできます。
他にも、複数のご先祖様の遺影を1枚にまとめてもらうなどの方法もあります。
スナップ写真を飾る
ご先祖様の場合難しくなりますが、家族であれば、遺影を処分しスナップ写真など、故人らしい表情のものや、思い出の写真に交換することもオススメです。
私の実家も以前は遺影をそのまま飾っていましたが、住み替えをした際に遺影はすべて処分しました。もともと、母が両親(私の祖父母)やペットなどのスナップ写真を部屋に飾っておりましたので、住み替え後はその写真だけを飾っています。
遺影についているリボンはどうする?
上述の通り、遺影自体がただの写真ですから、リボンもただの飾りです。いつ取り外して処分しても構いません。
遺影のリボンの由来にも諸説あるようですが、弔意を表す物に過ぎません。落ち着いた時に外し、家庭ゴミとして処分します。
物を大切にするよう教えられ、怒られる時には「ご先祖様が見ている」など言われ育つと、遺影の処分はなかなかできないものです。私の実家もそうでしたが、住み替えをきっかけに思い切って処分しました。処分後は、後悔どころか、遺影のことさえ思い出さない、気にならないようでした。。
家の歴史が古く、家自体も広く、今後も住み続けるのであればそのまま残しておいてもいいのでしょうが、社会生活も住宅環境も変化しています。飾り続けるのが難しい場合には、潔く処分してみるのもいいものです。年を重ねると、気力体力的にも処分が難しくなります。思いついた時が処分時なのかもしれませんね。