エコーチャンバー現象とは?
エコー・チェンバー(Echo chamber)とは、元々は「共鳴室」を意味する言葉で、閉じた空間で音が響き渡るよう設計された部屋のこと。
近年、俗に言う、エコーチェンバー現象とは?
同じような価値観の人たちばかりで集まって共感し合うことで、その価値観〜特定の意見や思想が増幅されて影響力をもつ現象。
共感や共鳴、要は「いいね!」「好き!」と多くの人に同意されまくると、「やっぱりそうだ!」「この考え方は正しい!」「私は正しい!」「私も正しい!」とそれを疑いなく信じてしまうこと。
ツイッターなどのSNSや、インターネット掲示板など「同じ趣味・思想の人とつながることができる」場で起こりやすい現象で、攻撃的な意見や誤情報などが広まる一因。
エコーチェンバー現象は多様性への排除を生無出すことから、社会を分断させる“真犯人”、いじめや差別の”権化”として問題視されている。
エコーチェンバー現象によりもたらされた悲劇
エコーチェンバー現象が知られるきっかけになった本がある。
『インターネットは民主主義の敵か』の著者であるハーバード大学教授のキャス・サンスティーンは、SNSが普及する前からエコーチェンバー現象のリスクについて提言していた。
それが広く浸透し世界的に注目されるきっかけになったのは、2016年のアメリカ合衆国大統領選挙である。
また、2018年には、メキシコとインドでエコーチェンバー現象による殺人事件が発生している。
事件のきっかけとなったのは、「子どもを誘拐した犯人がいる」という、メッセージアプリ上で拡散されたデマであった。このデマを信じた多くの人々が、現地に集合。「自分の意見が正しい」と思い込んだために、無関係の人々を襲撃し死に追いやった。
そして、アメリカ合衆国の議会乱入事件だ。
2021年に発生した、アメリカ大統領選挙結果確認中のデモ隊による乱入事件のきっかけになったのは、ネット上で拡散された「Qアノン」と呼ばれる陰謀論だ。
確たる証拠がないにもかかわらず、陰謀論を正義と思い込んだ人々により事件が発生。
アメリカ政府を制御不能とし死者まで出したそのニュースは、エコーチェンバーの怖さを世界中に知らしめた。
エコーチェンバー現象が私たちに与えるリスクは決して小さくはないのだ。
エコーチェンバー現象への対策
SNSなどメディア企業側では、エコーチェンバーによるフェイクニュースの拡散や、断絶の防止の対策に乗り出してはいるが、追いつかないのが現状だ。
私たち一人一人が、エコーチェンバーの危険性を自覚し自戒する、それしかない。
エコーチェンバー対策例
- 集団の中で発信される意見を見たときに「自分たちが多数派だ」と決して勘違いしない
- 多数派=正義ではないことを理解する
- 自分と違う意見の人がごまんといることも認識する
- 定期的に自分もエコーチェンバー現象にはまっていないか?と客観視する
- 安易な情報に飛びつかず一次情報を探しにいく
- データや事実を確認することはもちろんその因果関係を読み間違えないようにする
- データ=事実ではないことも認識する
- 発言(表現)すること自体は自由であるから、世界は嘘や方便(フェイクニュース等)だらけであることを認識する