農地は買えないってホント?(ホントです)

今更聞けない事典
この記事は約3分で読めます。

地方に行くと、使われていない「田んぼ」や「畑」「果樹園」を沢山目にします。

中には、雑草や雑木だらけで荒れ放題で、見るも無残な土地も少なく有りません。

高齢で畑仕事が出来なくなって放置されてるんだなあ、後継者もいないんだなあ、と思う一方で、地方に移住して農業をやりたい、家庭菜園をやりたい、という人は少なくないのだから、使っていないのなら安く譲ればいいのに、貸せばいいのに、と思うのですが、それをさせない仕組みになっています。

農地は買えないってホント?(ホントです)

農地は買えないってホント?(ホントです)

日本では、”農業(農家)を保護する”目的で、農地法という法律により、非常に厳しく規制されています。

原則として、農地は自由に売買したり譲渡したりすることは認められていません

売る相手(買主)が農家であることが絶対条件です。

故に、サラリーマンは農地を買えません。移住希望者でこれから農業やりたいです、という人も買えません。その農地を管轄する農業委員会が認める農家(農業従事者)でなければ農地は買えないのです。

家族などに相続する場合であっても、その相続人が農家(農業従事者)でなければ相続できません。

その場合(相続人が農家でない場合)は、農地を宅地や雑種地等に変更=農地転用して相続することになります。

通常、この農地転用許可制度(正式には、農地法第5条による許可申請(届出))を利用して、農地を宅地に転用し、売買することになります。

農地ではなく宅地になることで、一般的な不動産と同じように、誰もが自由に売買または譲渡することが可能になります。勿論、不動産業者に仲介をしてもらうことも可能です。

しかし、すべての農地で転用が認められるわけではありません。基本的には農地の種類と、その転用理由(利用目的)によって判断されます。

○認められるケース
今後市街化が進む可能性の高い地域の農地(第二種農地、第三種農地)

×認められないケース
第二種農地、第三種農地以外の全ての農地(農用地区域内農地、甲種農地、第一種農地など、今後も農地であるべきとされる土地)

農地の種類は、その農地を管轄する農業委員会に確認ください。

転用の許認可の判断は、その農地を管轄する農業委員会が行い、都道府県知事が許認可を経て、最終的には法務局が許可することで成立します。

農地転用は、その手続きも判断基準も複雑で曖昧です。そして数年単位で時間がかかる場合があります。農地転用の許可に詳しい行政書士に相談する必要があります。

農地を花畑にしてはダメってホント?(ホントです)

農地を花畑にしてはダメってホント?(ホントです)

農地は農業以外の目的で利用することは認められていません。

農地に家を建てるのは勿論、駐車場にしたり花畑にするのもNGです。

花畑はNGですが、販売用の花木栽培ならOK。農地は原則農作物の栽培以外はしてはいけないことになっています。そして、どのように利用するのか(何を植えるのか)は農業委員会の許可・確認が必要です。

以前移住した敷地に隣接する広大な土地が、長く耕作放棄された荒れ放題の農地で、あまりに見た目が悪いので花を植えようと草を刈り整地をしたら農業委員会に怒られたことがあります。

そもそも無断で、しかも農家でない人が他人の農地を整備するなんて、、とけんもほろろでした。どんなに放置されていても農地は聖域なのです。

農業委員会とは何者?

ところで、農業委員会とは何者なのでしょうか?

農業生産力の向上と農業経営の合理化を図り、農民の地位向上に寄与することを目的として、市町村設置されている行政委員会従来農地委員会農業調整委員会農業改良委員会を統合したもので、昭和26年(1951)の農業委員会法に基づく機関農地の利用関係の調整、技術の改良・普及の指導、行政庁への建議あるいは答申などを行う。

コトバンク

この組織(仕組み)があることで、守られるものと、失うものがあります。私は失うもののほうが多いように感じています。

空き家が増え、耕作放棄地が増え、里山の景観は荒れ放題。生態系にも影響が出始めています。

タイトルとURLをコピーしました