【山暮らしの仕事】林業が熱い!林業インターンシップ制度の基礎知識

日本は森の面積は66%以上。国土の3分の1は森林です。森林率でいえば先進国の中で第2位、世界有数の森林国です。

日本の森林の約5割が天然林、約4割が人工林、残りが無立木地、竹林など。この50年で人工林が成長し森林資源量は3倍になりその資源を有効利用しようということで、今、林業に注目が集まっています。

そんな将来有望な仕事、次代の林業の担い手を育成する「林業インターンシップ(職場体験プログラム)」について解説します。

目次

林業インターンシップ制度/職場体験プログラムについて

山の仕事、林業というと「木こり」をイメージしますが、林業はまさに「木こり」です。

「木こり」とは、木を伐採するだけではなく、森を育てるのも仕事。今は「森林作業員」というのが一般的な呼称です。

森林作業員」は、体力的にも経済的にも厳しいイメージがありますが、現代林業はイメージしているよりもはるかにスマートでクールです。

貴重な日本の資源と日本の山や森を守るために、現在林業従事者は需要の高い職業ではありますが、年々減少する一方。従来のイメージの払しょくと、高齢化への対応が急務なのです。

そのために設けられた制度が「林業インターンシップ」です。

林業インターンシップ/職場体験プログラムとは?

林業インターンシップ/職場体験プログラムとは、実際の林業を体験しながら現地の暮らしを知ることができる就業体験制度です。

林業インターンシップには、林野庁主催のもの、各都道府県の林政課などが主催のもの、森林組合や民間林業経営体が主催のものとあります。

泊まり込みで行われるプログラムが多く、短期間で林業を一通り知ることが出来ます。

行政主体のインターンシップ(職場体験プログラム)は、学生や大学院生に限定されていることが多いのですが、森林組合や民間林業経営体主催であれば、「39歳までの林業就業に意欲のある方」など、募集要件が異なります。

林野庁の「林業インターンシップ」は、2023年(令和5年)から「職場体験プログラム」に名称変更しています。

林業インターンシップの概要

林業インターンシップでは、座学講義のほか、実際の現場で林業体験をします。

現役の森林作業員の山での暮らしの見学や、地元住民との交流活動もあるので、仕事だけでなく田舎暮らしを体感的に学ぶことが出来ます。

林業インターンシップの期間

林業インターンシップは、プログラムによって期間が異なります。

1泊2日の短いプログラムから、10日前後の日程までさまざまです。

泊まり込みの合宿型が一般的ですが、1日のみの就業体験もあります。

林業インターンシップの費用

林業インターンシップの費用も、各プログラムによって異なります。

  • 完全無料
  • プログラムによって有料 〜 通常は1~2万円程度
  • 教材や宿泊代、保険料が別途加算されることもある
  • 旅費、交通費、食費、宿泊費等支給されないこともある
  • 実習中の事故に備え、各自で傷害保険等に加入が必要なこともある

・インターンシップ中の活動には報酬が発生しません
・交通費は支給(上限あり)されることが多いようです

林業インターンシップの応募資格

林業インターンシップへの参加に、特別な資格は必要ありません。

性別も関係なく応募できるので、女性も参加可能です。

但し、年齢制限が設けられている場合があります。

林業インターンシップ プログラムの流れ

泊まり込みの林業インターンシップの一例です。プログラムやインターンシップの期間によっても異なります。

【林業インターンシップ プログラム(例)】

  • 1日目 林業の概要説明や、地元産の木材を使った住宅の見学
  • 2日目 森の標準値調査、苗木の植え付け作業、製材工場の見学、労働安全講習
  • 3日目 種苗体験、現役の林業従事者による仕事説明会
  • 4日目 素材生産体験、合板工場の見学、地域の紹介
  • 5日目 現地林業会社の訪問・見学、就業相談

【林業インターンシップ プログラム 一日の流れ(例)】

  • 6:30 起床
  • 7:00 朝食
  • 7:40 山へ出発
  • 8:00 作業開始
  • 10:00 休憩
  • 10:30 作業再開
  • 12:00 昼食
  • 13:00 作業再開
  • 15:00 休憩
  • 15:30 作業再開
  • 18:00 宿舎帰宅
  • 19:00 夕食(情報交換・交流)
  • 23:00 就寝

※北海道「林業お試しツアー5日間の日程」より

林業インターンシップのメリット

自分の適性を確認できる

林業インターンシップへ参加することで、自分に合っているか、やっていけるかを確認することが出来ます。

林業は特殊な仕事でもあるので、「イメージしていた仕事や生活と違った」「働いてみたら想像以上の過酷さだった」といった、イメージと現実のギャップがあることが少なくありません。

そのギャップの有無と大小を、事前に確認できることで、就業してすぐにやめるリスクを減らしたり、田舎暮らしへの抵抗感をなくしたりすることにつながります

様々な講習が受けられる

林業インターンシップに参加すると、業務に必要なチェーンソーや刈払機の技術講義や重機操作を学べるプログラムもあります。

中には、講習にかかる費用も参加費に含まれている場合もあるのでお得です。

それらは例え林業をやならくても山暮らし~田舎暮らしではとても役に立つものです。

未経験の社会人でも参加できる

林業インターンシップは、林業にまったく知見のない社会人でも参加できます

インターンシップといえば、学生が就職活動のために参加する印象も強いですが、林業は資格や学歴などが必要ありません。

社会人の転職や山暮らしを目的に移住したい人の仕事(就労)としておすすめです。

お試し移住体験ができる

宿泊型の林業インターンシップは、移住を検討する人の「お試し移住」や「田舎暮らし体験」も兼ねることができます。

滞在中の食事は各自自炊でまかなうことが多いので、地元の食材を購入したりすることで、田舎での生活基準や生活パターンを知ることができます。

就業相談、移住相談ができる

各地域の森林組合や民間林業経営体等が主導している林業インターンシップでは、就労相談や移住相談ができるのも利点です。

移住したい人、移住後の仕事について心配している人には、最適です。

林業インターンシップ/職場体験プログラムの申し込み方法

林業インターシップ/職場体験プログラムは、主催者ごとの申し込みです。条件や申し込み期間、開催時期もそれぞれです。

林野本庁 職場体験プログラム

林野本庁 職場体験プログラムhttps://www.rinya.maff.go.jp/j/kanri/saiyou/internship.html

  • 毎年7月~9月(夏期)、2月~4月(春期)の間で受入部署が設定する期間に行われます
  • 夏期インターンシップの詳細は5月上旬頃、春期インターンシップの詳細は12月上旬頃公表されます

森林管理局 職場体験プログラム

  • 毎年7月~9月(夏期)、2月~4月(春期)の間で受入部署が設定する期間に行われます
  • 実施時期や職場体験プログラムは、「夏期」の詳細は7月頃、「春期」の詳細は12月上旬頃公表されます
  • 各森林管理局ごとに、様々な就業体験内容が準備されています

▼各森林管理局による職場体験プログラム募集サイト(リンク)

各地の自治体、森林組合、民間林業経営体のインターンシップ

各自治体の林政課や、森林組合、民間林業経営体等でも、インターンシップがあります。

募集期間、開催時期、参加条件もそれぞれ異なります。「林業インターンシップ」や「林業体験」と県名/市町村名などで検索をしてみてください。

一部ですが、次のようなサイトでインターンシップや就職支援などを行っています。

タイミングのよい日程や期間で行っているインターンシッププログラムに出会うのは難しいので、地道にチェックしてみてください。

林業インターンシップ制度の注意点

昨今、林業インターンシップに観光や興味本位で参加する人も少なくないようです。

あくまでも就労体験制度ですので、林業をやりたい!やってみたい!と検討する人が参加するプログラムであることをお忘れなく。

これからの林業は、自然資源を有効活用し、日本の自然を、国土を、守り育てるサスティナブルな仕事です。

その担い手となることは、とても意義があり、やりがいもある仕事です。田舎暮らし~山暮らしの仕事を探している人は、選択肢の一つとして検討してみる価値があるかと思います。

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この記事を書いた人

アラカン夫婦の備忘録

早期リタイヤして地方移住〜田舎暮らしをした経験と、その後の暮らしで学んだことや役立つことを、これからシニアになる全ての人たちに向けて発信しています。
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