田舎の古民家暮らしに良く似合う、薪ストーブ。
薪ストーブがあると部屋中がポカポカになるし、料理も出来るし、何より炎が心を癒してくれるので、寒い冬も楽しめる!という感じの情報が多いですが、まあ、それも最初の2~3年までの話で、結構な割合で薪ストーブは不良債権化しています。
この記事では、薪ストーブで後悔しない、不良債権化しないために、薪ストーブの基礎知識を解説します。
薪ストーブを購入する前にご一読ください。
薪ストーブで後悔しない為に知っておくべき基礎知識
便利で経済的(効率的)な暖房器具がいろいろ選べる現代において薪ストーブは、インテリアや趣味的アイテムです。
それを実用目的で購入すると必ず後悔します。
後悔の理由はただ一つ、薪ストーブは、コストと手間がかかりすぎるのです。
以下、具体的に説明します。
薪ストーブ設置時のイニシャルコスト
薪ストーブはイニシャルコスト(設置する際の費用)に大きな落とし穴があります。
先ず、薪ストーブ本体価格があります。
本体価格は勿論ピンキリですが、結構お手頃なものもあったりと手が届く感じなので、薪ストーブのある豊かな冬の暮らしの夢が膨らみます。
が、大きな落とし穴があります。それは煙突です。
薪ストーブには本体の他に、必ず、煙突とその設置費用が必要になります。
その煙突(設置)費用、本体価格以上します。
もちろん家の造りや設置する場所にもよって大きく変わりますが、目安としては、薪ストーブの本体価格の2倍と言われています。
また、別途、床や壁の補強も必要になります。
以上のイニシャルコスト(本体+設置費用)だけでもかなりの金額になりますが、ランニングでは更にコストがかかります。
薪ストーブ設置後のランニングコスト
薪ストーブはメンテナンスは欠かせません。
どんなに高性能なストーブを購入しても、煙突が詰まれば暖房として使い物にならないどころか、命にかかわります。
掃除を怠ると、煙が室内に漏れてくるのです。
煙突掃除は大変です。特に煙突の上のほうを念入りに手入れする必要があるので、高所作業になります。
煙突掃除を含むメンテナンスの費用を外注する場合の費用目安は以下のとおりです。
- 基本料金 3万~4万円
- 出張費用 0〜2万円
- 消耗部品等の交換費用 部品代実費
また、当たり前ですが、薪ストーブには燃料となる「薪」が欠かせません。
薪は、自ら山で調達すれば無料(ただ)ですが、運んで・薪割して・乾燥させるという手間がかかります。かなりの力仕事です。
木は、乾かさないと薪としては使えません。乾燥には2年以上かかるのが一般的です。時間もかなりかかります。
そうなると、ひと冬で使う量の、さらに倍の量を、運んで、切って、割って、あらかじめ庭に積んでおかなければなりません。すごいスペースが必要です。労力もすごいです。
もちろん、薪自体を購入する方法もありますが、調査(薪ストーブ利用実態調査/環境保全研究所-長野県)によると“年間の薪使用量は4~10立米の世帯が多く平均は9立米”と言われています。
つまり、平均で年間約5トン。買えば25万円位はかかります。
煙突等メンテナンス費用に薪の代金、単なる暖房手段として考えた場合、コスパが悪すぎる、それが薪ストーブです。
それでも薪ストーブを設置したい人へ
実用的とは言い難い薪ストーブですが、それをも度返しするほど魅力があるのも事実です。
薪ストーブのモノ=道具としての魅力は、家電の便利な暖房器具には無いものがあります。
ひと言で「薪ストーブ」といっても、その種類は実に多彩です。
デザインのみならず、素材、サイズ、構造など、住まいや目的に合った薪ストーブを選ぶことで暖房効率もアップしますので、薪ストーブ導入のいくつかの選択肢を紹介します。
薪ストーブの種類
薪ストーブには、大きくふたつの暖房形式があります。
①輻射式
・鋳物製で長時間にわたって大量の熱と遠赤外線を放射するタイプ。
・火が落ちてからも暖かさが続くというメリットがあります。
②対流式
・蓄熱性を持たないスチール製のため、輻射熱は少なめです。
・火が落ちると早く冷めますが、その分、速暖性に優れています。
デザインも、『横長のクラシック(トラディショナル)タイプ』と、『縦長のモダンタイプ』の2タイプあり、アメリカのバーモントキャスティングスやダッチウェスト、ノルウェーのヨツール、デンマークのモルソーやスキャン社などが人気の薪ストーブメーカーです。
無論、薪ストーブは部屋の広さを基準に選ぶのが基本です。
カッコいいからと言って、大きすぎる(または小さすぎる)ものを選ぶと、早ければ一冬で単なる飾りと化します。
薪ストーブの設置場所
薪ストーブの暖房効果を最大限活かすには、設置場所は超重要です。
基本的に薪ストーブからは遠赤外線による輻射熱が4方向に放出されていますので、その熱を効率的に利用するには、部屋のど真ん中に置くのがベスト。
しかし、スペースの関係上、壁やコーナーに面して設置するのが一般的です。
その場合、輻射の角度は180度(コーナー設置の場合は90度)になり、壁を熱から守る炉壁を設置する必要があります。
炉壁の素材は、天然石やレンガがおすすめです。天然石やレンガは見た目の美しさに加え、蓄熱性に優れているからです。
設置場所に加えて、薪ストーブからの暖かな空気の流れをつくることもポイントです。
吹き抜けなど天井が高い空間の場合は、シーリングファンを設置するのが一般的です。
薪ストーブよりもコスパがいいペレットストーブ
薪ストーブのコストと手間にどうしても懸念がある方には、ペレットストーブがおすすめです。
ペレットとは、木を粉々に砕いて乾燥させ、圧縮形成したもので、価格も手間も薪よりもかかりません。
ペレットストーブは、点火、火力調整、消化まで自動制御。一般的な暖房器具と同様の使い方が出来るので超らくちん。
長い煙突も必要なく、場所をとらない気軽さが魅力です。
そして、暖房効率はもちろん、見た目も薪ストーブに引けを取りません。
薪ストーブ設置の奥の手(薪ストーブ導入補助金)
近年、森林整備補助事業の強化により、薪ストーブ導入に補助金を交付する自治体が増えてきました。
各自治体(市町村)のホームページで確認ください。
年度で変わります。取りやめになったり、新たに補助金事業を設置、または検討している場合もありますので、お住まいの自治体へお問い合わせください。